かながわ管弦楽ノートオーケストラを読むための独立した資料室

深紅の布の上に並べられた管弦楽の各楽器

楽器セクション入門

舞台の上の楽器は、ばらばらに並んでいるわけではありません。弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器という四つの層があり、指揮者の位置から見て手前から奥へ、音量の小さい順に配置されるのが基本です。この並びを知っているだけで、聴こえてくる音がどのあたりから出ているのかが分かるようになります。

四つの層

なぜ音量の小さい楽器が前なのか

単純な理屈です。弦楽器は一挺あたりの音量が小さく、人数で音を作ります。金管は一本で弦の一群に匹敵する音量を出せます。同じ平面に置けば弦は完全に埋もれてしまうので、小さいものを前に、大きいものを後ろへ、かつ後方は雛壇で高くして音を客席の頭上へ抜けさせる。舞台の段差は装飾ではなく、音響上の必然です。

層は固定されていない

編成は曲によって変わります。古典期の作品では木管が各二本、金管はごく少数で、全体で四十人前後。十九世紀末以降の大編成では木管が各三〜四本に増え、金管と打楽器が大きく拡張され、百人を超えることもあります。同じ楽団の演奏会でも、前半と後半で舞台上の人数がまったく違うことがあるのはこのためです。

誰が全体をまとめるのか

四つの層を統括するのが指揮者ですが、その仕事は拍を示すことだけではありません。詳しくは指揮者の仕事で扱います。また、弦楽器の先頭に座る首席奏者は、指揮者と楽団のあいだをつなぐ実務上の要でもあります。

配置は一通りではない

ここまで「基本の配置」として書いてきましたが、実際には配置に唯一の正解はありません。第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンを左右に分ける対向配置、チェロを中央に置く形、コントラバスを後方一列に並べる形と片側に寄せる形——いずれも歴史的に使われてきた選択肢です。

配置が変われば聴こえ方が変わります。対向配置では旋律の受け渡しが左右の移動として知覚され、低音の位置が変われば響きの重心が変わる。指揮者が特定の配置を選ぶのは好みの問題ではなく、その作品が書かれた当時の慣習に近づけるため、あるいは特定の声部を際立たせるためです。席に着いたら、まず舞台の並びを確認してみてください。前回と違っていれば、それ自体が解釈上の判断です。

人数の数え方

編成を示すとき、弦楽器は「14型」「12型」といった呼び方をします。これは第一ヴァイオリンの人数を指し、そこから他の弦楽器の人数が比例して決まります。数字が大きいほど弦の厚みが増し、大編成の作品に対応できます。古典派の作品では意図的に人数を減らすことも多く、これは音量を抑えるためというより、各声部の輪郭をはっきりさせるためです。プログラムに編成の記載があれば、その日の音の厚みがあらかじめ予想できます。

各楽器の構造・音域・奏法を体系的に調べたい場合は、演奏家向けに編まれた楽器学の解説が網羅的で、音域表や奏法の分類まで公開されています。