木管セクション
弦楽器が人数で音を作るのに対し、木管楽器は一つの楽器につき一人が基本です。同じ楽器が二人いても、多くの場合は第一奏者と第二奏者で役割が分かれています。つまり木管セクションで鳴っている音は、ほぼそのまま個人の音色です。管弦楽の響きの中に、はっきりした個性の線が何本か通って聴こえるとしたら、たいていこの層です。
フルート
金属製ですが、発音の仕組みの歴史的な分類から木管に含まれます。管弦楽の中では最も高い音域を担当することが多く、澄んで軽い音色は、弦の厚みの上に光の線を一本引くように働きます。低い音域では一転して太く柔らかくなり、同じ楽器とは思えないほど性格が変わります。低音域を受け持つアルトフルートや、さらに高いピッコロが加わることもあります。
オーボエ
二枚の薄い葦を重ねたリード(ダブルリード)を振動させて音を出します。細く、まっすぐで、わずかに鼻にかかったような音色は、大編成の中でもよく通ります。奏者の多くはリードを自分で削って作っており、その日の湿度で反応が変わるほど繊細です。開演前、オーケストラ全体がこの楽器の音に合わせて調弦するのは、音程が安定していて聴き取りやすいことによる慣習です。同族の低音楽器としてイングリッシュホルンが加わることもあります。
クラリネット
一枚のリードを使い、木管の中でもとりわけ音域が広い楽器です。低音域の暗く沈んだ響きから、高音域の鋭い輝きまで、性格の異なる複数の音色を一本で持っています。弱音での消え入るような表現に長けており、音を限りなく小さくしていく場面でしばしば任されます。低音域を受け持つバスクラリネットが用いられることもあります。
ファゴット
木管の低音を支える大型のダブルリード楽器です。低音域では素朴で温かく、高音域では張り詰めた表情になります。低弦と組んで土台を作る役目と、木管の中で独立した旋律を歌う役目の両方を担い、軽妙な性格の音楽で活躍することも多い楽器です。さらに低いコントラファゴットが加わる作品もあります。
四つで一つの和音
木管の書法の要点は、四種類の異なる音色を重ねて一つの和音を作ることにあります。同じ楽器を四本重ねるのとは響きの質が根本的に違い、それぞれの倍音構成が違うために、和音に厚みではなく色が生まれます。木管だけが残る静かな場面に出会ったら、その響きの成り立ちに耳を向けてみてください。
リードという消耗品
オーボエとファゴットはダブルリード、クラリネットはシングルリードを使います。いずれも葦を薄く削った消耗品で、湿度と温度で状態が変わり、数週間から数か月で寿命を迎えます。とりわけダブルリードの奏者は、自分で葦を削って調整することが一般的です。同じ楽器を同じ人が吹いても、リードが違えば音色も反応も変わる。演奏の直前まで奏者がリードを口に含んでいるのは、湿らせて状態を整えているためです。
一人一役の緊張
木管の各パートは基本的に一人です。弦楽器なら一人が乱れても全体でカバーできますが、木管ではその一音がそのまま客席に届きます。長い休符のあとに、静まり返った中で一人だけが吹き始める——木管にはそういう場面が繰り返し現れます。編成上の役割としては控えめに見えても、責任の集中という点では独奏に近い立場です。
音色を混ぜるという発想
作曲家が木管を扱うとき、しばしば意図するのは楽器同士の音色を溶かし合わせることです。フルートとクラリネットを同じ音で重ねると、どちらとも言えない新しい音色が生まれます。同じ音を二つの楽器で重ねるこの手法は、音量を増すためではなく色を作るためのもので、管弦楽法の基礎的な技法のひとつです。木管の和音が「何の楽器か分からないが美しい」と感じられたら、それは狙い通りです。
各楽器の音域と奏法は、フルートの楽器学的な解説をはじめとする楽器別の資料で確認できます。金管の層は金管セクションで扱います。
