かながわ管弦楽ノートオーケストラを読むための独立した資料室

椅子に置かれたヴァイオリンとヴィオラ、そして弓

高弦 — ヴァイオリンとヴィオラ

舞台の前方を占める弦楽器の群れは、ひとかたまりに見えて内部は細かく分業されています。とりわけ人数の多いヴァイオリンは、第一と第二という二つのグループに分けられており、これが管弦楽の響きの土台を作っています。

第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリン

よく誤解されますが、第一が上手で第二が下手ということではありません。役割が違うだけです。第一は多くの場面で主旋律を担当し、音域も高く、聴き手の耳がまっすぐ届く位置にいます。第二はその内側で、和音を厚くする内声、対旋律、刻みのリズムを受け持ちます。表に出にくいぶん、曲の推進力はここから生まれていることが多い。

両者を舞台の左右に分けて対向配置にすると、旋律が左右を行き来する掛け合いが立体的に聴こえます。二十世紀半ば以降は両方を左側にまとめる配置が主流になりましたが、作品によっては今も対向配置が選ばれます。座席に着いたら、舞台の左右をまず見比べてみてください。

ヴィオラ

ヴァイオリンよりひとまわり大きく、五度低く調弦される楽器です。位置としては弦楽器群の中央付近に座ります。旋律を朗々と歌う場面は多くありませんが、和音の中心にあたる音域を埋めているため、ヴィオラを抜くと響きから芯が失われます。楽譜も他の弦楽器と異なる記譜法(ハ音記号)で書かれており、演奏者は専用の読み方を身につけています。落ち着いた、やや翳りのある音色が特徴です。

コンサートマスター

第一ヴァイオリンの最前列、指揮者のすぐ左に座る首席奏者です。開演時に一人だけ後から登場して拍手を受ける、あの席です。仕事は演奏だけではありません。全弦楽器の弓の上げ下げ(ボウイング)を決めて統一し、リハーサルでは指揮者の言葉を実際の奏法に翻訳し、独奏部分があれば自ら弾きます。音を出さない部分の判断が多く、弦楽器群がひとつの楽器のように動けるかどうかは、この席の仕事に大きく左右されます。

弓が示す情報

弦楽器の弓がいっせいに同じ方向へ動くのは、見た目のためではなく音のためです。弓を下げる動作は自然に強く、上げる動作は弱くなりやすいので、どちらで弾くかを揃えることは音量と発音を揃えることを意味します。演奏中に弓の動きだけを追ってみると、音の強弱の設計がそのまま目に見えます。

プルトという単位

弦楽器は二人で一台の譜面台を共有し、この二人一組の単位をプルトと呼びます。譜面をめくるのは原則として内側に座る奏者の役目で、めくる瞬間もその人は演奏を止めなければなりません。作曲家や編曲者はこれを承知のうえで、めくれる箇所を作って書きます。演奏中に片方だけが弓を下ろす場面を見かけたら、多くはページをめくっているところです。

プルトの順番には意味があり、前方のプルトほど責任が重くなります。首席とその隣は独奏に近い場面を担当することがあり、後方は全体の厚みを支えます。全員が同じ譜面を弾いていても、担っている役割は席によって少しずつ違います。

ヴィブラートと音色

左手を細かく揺らして音を豊かにするヴィブラートは、常にかけるものではありません。かけない音——白い音と呼ばれることもあります——は硬質で透明な響きになり、特定の様式や場面で意図的に選ばれます。セクション全体でヴィブラートの量をそろえるのも、音色を統一するための作業のひとつです。弦の音がある場面で急に冷たく聴こえたら、それは奏法の選択の結果である可能性があります。

楽器そのものの構造や音域については、ヴァイオリンの楽器学的な解説が詳しく、奏法の分類まで整理されています。低い側の弦楽器は低弦のページで扱います。